研究課題/領域番号 |
10610429
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
国文学
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
勝俣 隆 長崎大学, 教育学部, 教授 (70141934)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
2001年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2000年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1999年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1998年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 中世小説 / 挿絵 / 本文 / お伽草子 / 絵巻物 / 室町物語 / 奈良絵本 / 絵入写本 / 插絵 / 絵人写本 / 御伽草子(お伽草子) / 絵入り本 / 絵画 / 御伽草子 / 宝町物語 |
研究概要 |
この4年間において、国内においては、東京大学・慶応大学・九州大学・国文学研究資料館・国立国会図書館・王舎城美術館を初めとして、全国の大学や図書館等を廻って、中世小説の伝本について調査し、資料を収集した(国内旅費)。主な作品は『七夕』『あめわかみこ』『岩屋物語』『強盗鬼人』『楊貴妃物語』『おもかげ物語』『十二人姫』『かざしの姫君』『酒呑童子』『伏屋の物語』『武家繁盛絵巻』『俵藤太絵巻』『浦島太郎』『三井寺』『道成寺縁起絵巻』等である。これらについては、撮影や複製依頼により伝本を入手し、挿絵と本文の一致不一致、相互影響関係等について、検討し、考察を加えた。また、中世小説に関する論文等を入手し、比較考察の材料とした(複写費)。 次に、パソコンを設備備品費で購入し、調査先でも、本文の入力等が行えるようにした。その結果、以前購入したイメージスキャナーと接続して、挿絵を画像として取り込んだものを外出先でも確認できるようになった(設備備品費)。また、平成10年度は、短期在外研究員として、アメリカのハーヴァード大学・ニューヨーク公立図書館、イギリスの大英図書館・大英博物館・ケンブリッジ大学・オックスフォード大学、アイルランドのチェスター・ビーティー図書館を廻って、中世小説の伝本について調査する機会を得た。調査した絵巻物・奈良絵本等については、調査報告を紀要で発表した。また、挿絵と本文の関係で興味深く、紹介するに足ると思われるものを論文として発表した(論文抜刷費)。その中で、オックスフォード大学所蔵『ひなつる』は、内容を詳しく検討した結果、新出作品と言えるものと推測された。また、同じく『酒呑童子』は、手足を喪い瀕死の重傷にある若い女性が花に、鬼の首が木の根に変えられたりと、残酷な場面が差し障りの内容に変形させられているという興味深い挿絵が見られた。大名等の姫君が見るには残酷過ぎる場面が、強い刺激を与えるのを避けようとする教育的配慮から穏やかで無害な場面に変形させられた可能性があることを指摘した。また、平成13年度には、ドイツのベルリン国立東洋美術館やベルリン国立図書館を廻って、『天稚彦草紙絵巻』や『月王・乙姫物語』等を閲覧し、複製を入手することが出来た(外国旅費)。総じて、挿絵と本文の関係について、種々の新たな法則を見出した点で、大きな成果があった。
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