東京大学文学部漢籍コーナー所蔵漢籍の目録作成作業を開始した。漢籍コーナーについては、昭和40年刊行の『東京大学文学部中国哲学中国文学研究室蔵書目録』(の第一編、四部分類部分)があるが、目録作成後すでに三十年を経過し、その後格段に増加した蔵書をカバーできないのが現状であった。 本年度においては、目録編纂の基礎となる新カードの作成(古いカードからのコピー)作業を完成し、旧目録に載っていない新規増補分のカードの抜き出し作業を完了した。これによっていよいよ本格的な改訂作業に入ることが可能になった。これから先、図書の現物と増補分のカードとを対照し、記載を漢籍目録に合致した規格に統一してゆく作業に取りかかることになる。来年度、再来年度はこの作業を集中的に行う。 新目録の作成にあたっては、将来の電算化をも視野に入れて作業計画を立てているが、現状においては、直接データー入力を行うことは困難であり、まず最初の段階としてカードを整えることにした。カードがしっかりしていれば、将来外注その他の方法で、入力が容易に行えるとの見通しが得られた。 なお、漢籍整理の過程において、数多くの新資料を発見し、現在続けている明末清初の文人冒襄の『影梅庵憶語』訳注の作業に用いることができた。この訳注の成果については、その全体の3分の2にあたるものを今年度中に発表し、残りの部分の原稿も年度中に完成している。
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