研究課題/領域番号 |
10610459
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
英語・英米文学
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研究機関 | 明星大学 (1999-2001) 東京大学 (1998) |
研究代表者 |
笠原 順路 明星大学, 人文学部, 教授 (00194712)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2001年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2000年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1999年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1998年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 自然神学(Physico-theology) / 自然観照(contemplation of nature) / 崇高(sublimity) / 自我の拡大(expansion of self) / 理神論(deism) / 自然神学(physico-theology) / 廃墟 / 崇高 / 自然観照 / 自我の拡大 / Byron,George Gordon / Dyer,John / Bryant,W.C. / Cole,Thomas |
研究概要 |
本研究は、18世紀から19世紀にかけてのイギリス文学における旅行記に表われた人間の心の軌跡をたどることで、自然の景物との関連において、如何にしてロマン主義的想像力が生じたか、特に(a)自然の景物が人間の心に与える影響、(b)廃墟が人間の心に与える影響、自然の景物が人間の自我意識を刺激していく過程、等を調べることで、ロマン主義文学における自然崇拝の淵源をたどることを目的として始められた。 平成10〜11年度は、廃墟が人間の心に与える影響について、ロマン主義的崇高に接した時の人間の心の動きと、バイロンの作品における脱線とは、一見無関係に見えるが、源を同じくしているという知見を得た。 12年度は、旅行記から18世紀イギリスの地誌詩へと研究対象が移行し、The Seasonsのような自然神学詩では、物質世界を賛美して造物主を称える過程で詩人の心が拡張するのだが、物質世界を賛美するということは、それと照応関係にあると考えられていた精神世界の調和を称えることにもなるのであり、まさにこの点にこそ、moral viewにより心が拡張する理由、つまりmoralの崇高性の論理的根拠が、存するという結果が得られた。 13年度は、地誌詩的傾向をもった自然神学詩へとさらに研究が拡がり、James Thomson : The Seasonsを昨年より一層深く精読し、物質世界を賛美して造物主を称えることが、それと照応関係にあると考えられていた精神世界の調和を称えることにもなるということを、具体的詩行に則して精密に跡づけた。ただし、その造物主とは、完全に現世を超越した存在というより、自然界に偏在する霊としての性格が濃くなること、また、精神世界の方も、人間一般の精神を述べるというよりは、作者の自我意識が刺激されてくる傾向にあることが結論づけられた。これが、まさにロマン主義的自然観照と自我意識の芽生えであり、本研究の結論と言える。
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