研究課題/領域番号 |
10610480
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
英語・英米文学
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研究機関 | 大阪経済大学 |
研究代表者 |
片山 麻美子 大阪経済大学, 経営学部, 教授 (50183778)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2000年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1999年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1998年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | トマス・グレイ / ジェイムズ・マクファーソン / トマス・ウォートン / ジェイムズ・ビーティ / トマス・パーシー / 18世紀 / 古詩復活 / イギリス詩史 / トマス・バーシー / ジィムズ・ビィーティ |
研究概要 |
当該研究ではグレイが詩史執筆を試みる上で早くからプリミティヴィズム等の新しい詩観を唱え、またその学識によって古詩復活の上で収集家に対し指導的な役割を果たした実態を明らかにし、晩年の文学活動の再評価を試みた。 1 準備作業 グレイの作品と書簡集を入力編集し、作品・人物・出来事などを検索することを容易にした。また古詩研究の資料として重要なグレイの備忘録(未出版)を調査するためケンブリッジ大学に赴き草稿を直接閲覧した。 2 研究活動(項目11参照)(1)マクファーソン、パーシー、エヴァンス、ビーティー等の古詩収集家がグレイに助言を求め意見を交換していた点を検討した。特にマクファーソンについては資料が古く調査が困難であったが、古詩断片のうち「六人の詩人たち」について二つの論考を発表した。まず、マクファーソン、グレイ、ワーズワスによる嵐の描写の類似性を指摘し、彼らが北方の荒涼とした風景に想像力を刺激され、その光景から幻想を呼び起こし作品を執筆していた経緯を考察した。また別の論考でこの断片詩が18世紀の叙景詩の趣向に沿う特徴を持っていたこと、結論の首領の歌が厳しい忍耐精神を歌い上げている点を論じて再評価を試みた。(2)グレイの詩史執筆の試みを考察するうえでは文学史に対する関心と議論を概観することの意味が大きかった。中世からの文学史をめぐる歴史概念との変遷を辿り進歩思想を跡付けることで、イギリスの文学者達が故国の文学の発祥と独自性を求め、最終的に文学史の編纂や古典文学とは異なる価値観を見出して北方の古詩の再評価に至った過程を論考にまとめ、グレイの詩観とその先駆性を論じた。 古詩復活の現象には文学運動にとどまらず、起源としての原始社会における自然との関わりを考え、人間のあるべき姿を求めようとした当時の文化的背景が見出される。今後は古詩収集家に関する資料を充実し綿密な考証を加えてこの時代の研究の不備を補いつつ、最終的には古詩復活に果たしたグレイの役割を包括的にまとめ研究書を出版したい。
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