研究概要 |
1.属性のenの生起と名詞句の指示性(大木担当) 今回研究の対象としたのはJe me dirigeai vers sa chambre(N1)et en ouvris la porte(N2).のような文である.このような文について書き言葉と話し言葉のフランス語のコーパスを用いた考察から次のことが明らかになった. (1)N1,N2の個体性が高く、連想照応するためのN1とN2の意味的関連性が高い場合には、enは用いられない。この事実から、このような場合にはN2の指示対象は十分に確立していると言える. (2)N1の個体性が高く、N2の個体性が低い場合でも、連想照応が成り立てば、enは用いられない、この事実から、この場合もN2の指示対象は十分に確立していると言える. (3)N1,N2の個体性がともに低いときには、enが用いられる.この事実から,このような場合には,N2の指示対象は十分に確立していないと言える. 2.談話における指示対象の確立と同定(東郷担当) 「共有知識領域」「発話状況領域」「言語文脈領域」3つ心的領域からなるの談話モデルに基づいて、主に指示対象の同定のメカニズムについて考察をした.指示対象の同定の深度を決定するのは次の3つの要因であることが明らかになった:(1)指示対象固有の性質(2)話し手と聞き手にあいだでの談話モデルの共有度(3)指示対象が談話のなかで果たす役割
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