研究課題/領域番号 |
10610494
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
独語・独文学
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
新井 皓士 一橋大学, 大学院・言語社会研究科, 教授 (60022117)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2000年度: 100千円 (直接経費: 100千円)
1999年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1998年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | ゲーテ / シラー / ラーレブーフ / 文体統計論 / 対数正規性(文長) / 多変量解析 / 芥川龍之介 / 太宰治 / ラ-レブーフ / 柿本人麻呂 / シェークスピア / 主成分分析 / 判別分析 / ゲーテ・シラー往復書簡 / シェークスピアとマーロー / 重回帰分析 / 分散分析 / クラスター分析 / 判別関数分析 |
研究概要 |
1)多変量解析の手法を文体統計論に応用。まず『ゲーテ・シラー往復書簡集』をテキスト・データとして、文長分布に関し、対数正規分布にほぼ従う事を指摘し、分散分析や時系列的分析の可能性を検討した。次に主として不変化詞の頻度分布に基く主成分分析や判別分析を通じて、従来の人文学的研究方法のみでは十全の結果を得ることの困難な「作者問題」の解決に、これら統計的手法が極めて有効である可能性を実証した。 2)上の方法論的検討をふまえて、16世紀末の作者未詳の諷刺物語『ラーレブーフ』を文体統計論の立場から精緻に分析し、同書の前半部と後半部の間に文体上の差が若干みられることを明らかにした。次に匿名作者の候補としてJ.フィッシャルトを推定し、その可能性を文献学および統計学の二つの視点から多角的に検討している。 3)方法論的検討に付随して、文長の対数正規分布性に関し日独英語など広く資料を検討する過程において、芥川龍之介の晩年に特異な分布形態がみられることを発見し、同じように不惑以前に自殺した太宰治の文体との対比研究を行なった。精神状態(狂気)と文長分布の関連性の有無、正規性検定におけるKS検定法(コルモゴロフ・スミルノフ/リリフォー)とカイ二乗適合度検定の有効性が、その検討対象である。 4)語彙に関する研究の一環として、言語年代学の主要概念である基礎語彙の問題をとりあげ、基礎語彙語頭音の一致の偶然性について、確率論的検討(cf.ボイヤ・ヤスモト)を多くの言語について行なった。一例として、大野普の主張するタミル語と日本語の関係については、少なくとも現段階では日本語がタミル語のクレオール語であるとする説は成り立ちがたい、という結論を得た(未発表)。
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