平成10年度には『カフカが見たイディッシュ語演劇のラテン文字転写および詳註』第3巻、具体的には『バル・コホバ』、『シュヒテ』、および『仕立て屋のモイシェ』(全226ページ)に含まれて難しい単語、成句についてのドイツ語による注釈の完成を目標にしていたが、これはドイツ人の協力を得て予定通り10年度中に終了することができた。 平成11年度には第4巻、具体的には『ダヴィデのバイオリン』『ブリーメレ』『副王』『ヘルツェレ・ミユヘス』(計251ページ)の転写の完成と、これらに含まれる難しい単語や成句の註をつけることを予定していた。このうち前者についてはドイツ人研究者、およびカナダのイディッシュ語ネイティブスピーカーの協力を得てようやく平成12年4月に完成した。後者の注釈の作成は残念ながら一部の作品についてしかできず、あと一年程度はかかる見込みである。ともあれ転写(全870ページ)はこれですべて完成したことになり、世界のカフカ研究者にとってこの資料の価値はいっそう高まると確信する。
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