研究課題/領域番号 |
10620010
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
基礎法学
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
熊田 裕之 長崎大学, 環境科学部, 助教授 (00195520)
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研究分担者 |
奥 真美 長崎大学, 環境科学部, 助教授 (30304968)
生野 正剛 長崎大学, 環境科学部, 教授 (80128149)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1999年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1998年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 環境 / リゾート開発 / ゴルフ場 / 森林 / 原状回復 / 自然保護 / 合意 / 損害賠償 / リゾート施設 / 原状回復義務 / 附款 / 自然保護協定 / 契約 / リゾート法 / 環境回復責任 / 緑化 |
研究概要 |
本研究では、ゴルフ場等のリゾート開発が工事着手後に資金難などの理由で挫折した場合に、リゾート企業に破壊された森林等の自然環境を回復させる義務を負わせる法的根拠について分析を加えた。それにより以下のことが明らかになった。第一に、自然保護に関する行政法規のなかに、森林(樹木)の原状回復を定めた規定が置かれているものの、特定の地域に限定されているため、リゾート施設には適用されない。第二に、都市計画法上、都道府県知事はゴルフ場の開発を許可する際に条件を附することができるとされ、実際に、開発工事を中止した場合の原状回復を条件とする許可が下されている。しかし、その原状回復の対象は公共施設の限られており、伐採した森林には及ばない。第三に、リゾート施設の開発業者と自治体または住民との間で交わされる自然保護協定において、自然の破壊の防止、植生の回復に関する取決めを置くものがある。長野県では条例でゴルフ場事業者にこの協定の締結を義務づけ、協定に違反した者に森林の回復を請求することができるとし、さらに、この原状回復を担保するため、事前に事業者に保証金を支払わさせている。第四に、リゾート業者へ山林を売買する際に、業者の公害防止義務違反を理由とする解除権を留保した場合には,解除に伴う森林の原状回復が認められる。第五に、損害賠償の方法として原状回復も理論的には可能であるが、我が国では金銭賠償が原則とされているので無理である。 以上の検討の結果,今後,国または自治体は契約(協定)によりリゾート業者に破壊された森林の回復を義務づける第三の方法を採ることが望ましい。この方法は,事前に保証金をとっておくので、倒産したリゾート業者からは実際上回復に要する費用を徴収することができないという難点を免れうる。
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