研究分担者 |
廣江 健司 桐蔭横浜大学, 法学部, 教授 (90143354)
江泉 芳信 青山学院大学, 法学部, 教授(学生部長) (50103601)
矢澤 昇治 専修大学, 法学部, 教授 (00128323)
芳賀 雅顕 明治大学, 法学部, 専任講師 (30287875)
根本 洋一 横浜国立大学, 経済学部, 教授 (60198570)
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研究概要 |
国際取引の現状をみると,一方では,WTOなどの国際機関を中心に国際取引の自由化に向けた施策が講じられ,物に関する貿易だけではなく,知的財産権やサービスなどの分野をも含めて総合的に,必要とされる国内法の統一や国際的原則の確立を目指した新しい動きがみられている。しかし、他方では,EU, NAFTAなどが先進的な側面を持つと同時にブロック経済化の危険性をはらむことが指摘され,また、NGOを中心として環境問題等貿易外関心事項への取り組みが強められる必要性が強調されている。世紀転換期の国際取引法は、ブロック経済化への危険性を回避しながら,消費者,一般市民が安心して生活することができるような物,技術、サービス,環境を供給できる法秩序をどのようにして国際的に構築するかという困難にして,重要な課題を担っている。新しい取引形態として重要となっているのは,インターネットの普及に伴うサイバースペイスにおける取引,いわゆるE-Commerceとそれに付随する諸問題である。インターネット、という新しい取引手段の出現の中で、これまで国際取引、国際的な情報交換の当事者として登場することのなかった人達が新しく当事者として登場し、十分な自覚もなく国境を越えた交流が可能となり,国際取引に参加することができることになる。このようなサイバースペイスにおける取引や情報交換に従来形成されてきた伝統的な法原則がどの程度,どのようにして、どこまで妥当するかを検討することも重要な現代的な問題である。 木研究は,このような共通認識のちとで、それぞれの研究者がこれまで主として研究してきた分野から課題を見山して研究会で報告し、議論することを通じて,自らの研究を広げ,深めたものである。木棚研究代表者は,主として知的財産権の保護に関する属地主義の原則が市場のグローバル化,WTOのもとにおけるTRIP s協定によってどのような影響が生じるかを国際取引の側面から考察し、属地主義の概念の見直しを主張した。廣江研究分担者は,主として国際企業法との関係からこの問題を検討し、設立準拠法主義の修正を主張する。芳賀研究分担者は,国際民事訴訟法の観点から外国判決承認理論として訴訟管轄に関する鏡像理論の柔軟化の必要性を主張した。江泉研究分担者は,インターネットの普及に伴うサイバースペイス上で生じる問題をドメインネーム紛争に絞って検討し、セルフ・ガバナンス論の意義と限界を明確にした。矢澤研究分担者は,国際取引と環境保護の問題を「有害廃棄物の国境を越える移動およびその処分の規制に関するバーゼル条約」における紛争解決メカニズムから考察することにした。
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