研究課題/領域番号 |
10620052
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
社会法学
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
石橋 洋 熊本大学, 法学部, 教授 (70176220)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2000年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1999年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1998年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 営業制限 / 競業避止特約 / 競業避止義務 / 雇用契約 / 営業秘密 / 取引関係 / 従来員確保 / 従業員確保 |
研究概要 |
イギリス法において営業制限法理とは、コモン・ロー上の法原則とされる営業の自由と契約の自由とが抵触したときに、双方の自由を調整し、営業の自由を制限するいかなる契約もそれを合理的とする特別の事情が存在しない限り、公序に反するものとして一応無効と推定する法理論と解される。合理的とされる特別の事情は、(1)特約によって保護される正当な利益の存在、(2)地域的、時間的、そして仕事の制限の合理性、(3)公共の利益、の三点に照らして判断されることになる。合理性の判断規準は、商契約も雇用契約も共通であるが、その具体的な判断は前者よりも後者が厳しく判断される。その主たる理由は、使用者と被用者との交渉力の不均衡とそれを通じて営業の自由を制限されるところにある。この理由から、雇用契約上の営業制限特約(競業避止特約)によって保護される使用者の正当な利益は、1916年のHerbert Moris事件貴族院判決以来、営業秘密と顧客との取引関係と考えられてきた。しかし、営業秘密については、最近の判例の発展のなかで、営業秘密のなかにノウハウが含まれることになるのかどうかが新たな争点とされている。また、顧客との取引関係についても、これまで事業の性質と雇用の性質を要素とする相補的関係から「使用者の顧客に関する個人的知識や影響力」をもつかどうかという観点から判断されてきたが、最近の判例では使用者のコスト負担等を判断要素とする判例がみられ、注目される。さらに、最近の判例では、「使用者が雇用している被用者の維持・確保」を使用者の正当な利益とする事例も登場し、使用者の保護法益の拡大傾向がみられる。この申請者の研究によって得られた知見は、今後のわが国における競業避止義務法理の発展に大きく寄与することになると考える。以上が、申請者が平成10年度〜平成12年度の補助金交付期間内に行った研究成果の概要である。
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