研究課題/領域番号 |
10620058
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
刑事法学
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研究機関 | 桐蔭横浜大学 |
研究代表者 |
竹村 典良 桐蔭横浜大学, 法学部, 助教授 (60257425)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1999年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1998年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 刑事司法情報 / 被害者連絡制度 / 被害者通知制度 / 情報公開 / 被害者の権利 / 手続参加 / 被害弁償 / 不服申立制度 / 被害者対策要綱 / 少年法整備要綱骨子 / 少年審判結果通知制度 / 死刑執行日時・件数公表 / 被害者対策 / 被害者の法的地位 |
研究概要 |
刑事システムにおける情報公開に関して、捜査・訴追段階において、近年、わが国において確立されつつある被害者連絡制度、被害者通知制度は、被害者中心的であり、それぞれ警察と検察によって運営されている。その結果、刑事司法情報はいまだ厳格に統制され、その一部だけがこれらの機関の裁量により極めて限られた人々に提供されているだけである。 このように警察と検察だけが情報提供の機関であることが適切であるかどうか、また、警察と検察が「被害者政策」として情報提供を行なうことが正当であるか否か検討されなければならない。現状において、内容と方法が警察と検察の裁量によって決定されるがゆえに、法執行機関の利便性が優先される危険性がある。また、情報が提供されなかった場合あるいはその方法について不服申立制度も存在しない。 また、矯正・保護段階においては、刑事施設に服役する受刑者の所在と釈放に関する情報に関して、被害者に対してこれらの情報を知らせる制度も実務も存在しない。 しかしながら、情報の必要性、自己回復のための有用性、国家機関へのアクセス等を考慮するならば、情報提供を「政策」として構成するのは不充分である。情報提供は手続参加、被害弁償要求のような被害者による権利の積極的実践のための基礎であり、被害者の主体性の回復と関連しているがゆえに、捜査機関の裁量としてではなく「被害者の権利」として構成されなければならない。 以上の状況を鑑みるに、刑事司法情報が公開されるのではなく、囲い込みに基づいて提供されている現状に問題がある。刑事司法機関を中心とする政策から一般の人々を中心とする戦略へ、刑事司法機関から提供される情報の消極的受容から市民による情報の積極的活用へのパラダイム転換が必要である。
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