研究課題/領域番号 |
10630031
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
経済政策(含経済事情)
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
館山 豊 茨城大学, 人文学部, 教授 (60116621)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1999年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1998年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | イラン / イスラム / 分配国家 / 工業化 / 技術移転 / 革命 |
研究概要 |
イランは分配国家的側面と生産国家的側面をあわせもった「不十分な分配国家」である。そこでは常に工業化への志向が存在する一方、それを押しとどめようとする力が作用する。本研究では90年代になって活発化してきた工業化への動きを分析すると同時に、それを阻害している要因について、主として企業レベルでの調査をとおして明らかにする事を試みた。研究対象として取り上げた企業は国営鉄鋼会社1社と、国有化された自動車会社1社である。いずれも日本企業と技術提携関係を結び、日本からの技術移転がおこなわれている。本研究では日本企業本社での聞き取り調査に重点をおいた。その結果、次のようなことが明らかになった。 工業化へのイランの潜在力は他の中東諸国に比べて高いものがある。現場での技術修得力、仕事の段取りや手順を理解する能力などがそのことを示している。しかしそうした人的資源をうまく組織していく経営能力の点において以下のような問題点をもっている。 (1)経営における一貫性の欠如。(2)資金管理の欠如。(3)生産における計画性の欠如。(4)設備や建物の予防的保守・点検の欠如。(5)日々の操業や生産に関するデータの欠如。(6)製品の品質、納期への関心の欠如。(7)情報の共有の欠如。 こうした問題点が累積している結果、経営は製品原価すらわからず、「どんぶり勘定」で会社を運営している。これは商人資本的発想に基づくもので、産業資本的発想に基づくものではない。商人資本的発想は分配国家に特有のものであり、分配国家はイスラムと親和的である。そこに神権国家イランにおける工業化の限界がある。
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