研究課題/領域番号 |
10630034
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
経済政策(含経済事情)
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
寺西 重郎 一橋大学, 経済研究所, 教授 (70017664)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2000年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1999年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1998年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 所得分配 / 政府 / 民間 / 原局 / 階級 / マクロ安定性 / 産業政策 / 中産階級 / 審議会 / 業界団体 / 産業間対立 / 遮断仮説 / 要素賦存仮説 / 縁故主義 / 政府民間関係 / 階級対立 / 農業 / レント / 労働組合運動 / 集団行動 |
研究概要 |
所得分配をめぐる民間部門内の対立がどのように集約され、これに対して政府がどのような態勢で対応するかという問題を歴史的・比較論的に分析した。 所得分配をめぐる対立に関する政府と民間とのインターフェイスは、国によって地域によって歴史的局面によって大きくことなる。戦後日本を代表とする東アジアでは人々の所得分配にかかわる要求は、産業別に組織され、政府の産業別「原局」が利害調整を行なった。こうしたインターフェイス上の特色は1980年代以降の東アジアにおいても、程度の差はあるものの、ある程度みられる。我々の調べた4カ国では、タイにおいて最も顕著であり、韓国ではきわめて微弱、台湾とインドネシアは中間的であった。他方、ラテンアメリカとくに我々が調べたブラジルでは人々の所得分配に関する対立は生産要素の所有すなわち階級関係によって代表される。政府は組合を労働者、使用者双方に組織させることによって階級間の利害の調整を行なった。 以上のようなインターフェイスのちがいは、経済のマクロ安定は、産業政策の有効性および経済全体のガバナンスの点で、経済のパーフォマンスに大きな影響をもつ。戦後日本とブラジルの比較で言えば、経済のキャッチアップの過程では、日本くらべて階級間抗争に依存する。ブラジルでは、インフレ傾向に陥りやすく、また産業政策のコーディネーションがより困難である。また所得分配にかかわる対立の中での中産階級の立場はブラジルではより不安定であり、経済全体のガバナンスが不安定化しやすい。 他方、経済のキャッチング・アップを終了した段階では、日本型の産業利害の調整に依存したシステムは別の困難に直面する、デフレ圧力、消費者とサービス消費財産業との対立、預金金融機関の非効率の問題などがこれである。
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