研究概要 |
本研究では、アメリカの航空輸送業の規制緩和による生産性の変化の分析と、アメリカ、オーストラリアと日本の同産業の国際比較をおこなった。申請者は1995-1997年の3年間、オーストラリアと日本の航空輸送業の規制緩和と生産性の分析とその比較をおこなってきた。(科学研究費補助金・一般研究(C)・代表 衣笠達夫・課題番号07630060,1995年度-1997年度,1997年度報告書提出)。本研究ではこれをさらに発展させ、規制緩和の先進国であるアメリカの同産業の分析を行うとともに、既に研究の終了しているオーストラリアと日本の航空輸送業との比較を行った。アメリカの航空輸送業の市場規模は世界最大であり、約20年前に規制緩和されたが、研究の結果、いくつかの知見を得て学会で発表した。以下はその一部である。 (1) アメリカの航空輸送業の市場は規制緩和されてから約20年経過しているが、規制緩和の後、産業全体で計測した生産性はほとんど伸びていない。また、価格は規制緩和によって低下したというよりも、価格の上限と下限の差が大きく開いた分散化傾向が見える。 (2) これに対して日豪の同産業は規制緩和の後、総要素生産性で計測した生産性は企業規模による格差はあるものの、増加している。 (3) このように規制緩和・民営化の実施方法・進め方・その市場規模などによって、規制緩和前後の遷移状態における生産性に大きな変化が生じることが解った。 これらの結果を取りまとめて報告書を作成・印刷した。(研究報告書1部 添付)
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