中高年女性による次世代就業支援について検討してきた。 核家族化が進展している、あるいは、三世代同居世帯は減少している、といわれることが多いが、「6歳未満児同居世帯に占める三世代同居世帯の割合」は20%台の後半で安定的に推移しており、育児期の女性が三世代同居世帯で就業継続支援を受けられる可能性はあまり変化していない。また、三世代同居に限らず、近居の親世代から支援を受けて、育児期に就業を継続しているケースは多い。 就業規定要因分析で同居や近居による親世代からの支援を見ると、結婚後の就業継続要因としては親世代との同居・近居は促進効果も抑制効果も持たないが、第1子出産後は弱いながらも就業を促進する効果を持っている。また、第1子出産後、第1子年齢10歳未満の常勤雇用就業率は、大都市では3歳以降低下が続くが、三世代同居の多い町村部では上昇していることを確認した。第1子小学校低学年期の就業規定要因分析の結果は、保育関連要因のなかで、親との同居・近居のみが就業を促進する効果を持っていた。三世代同居が少なく、親が近くに住んでいるという状況を手に入れることの困難な大都市部を中心に、学童保育の充実は必要不可欠である。 同時に、三世代同居世帯が多い地域でも、親世代からの支援を前提にした保育所整備には問題があることも指摘した。三世代・四世代同居世帯は、要介護者を抱える介護世帯と化す可能性は高く、育児と介護のダブルバインドは、中高年世代にあまりにも大きな負担を負わせることになる。 また、三世代同居世帯にとって、家庭外の低年齢児保育資源が入手できないことは、就業継続意欲があり、就業経験の豊富な中高年女性を労働市場から退出させる効果を持っていることも、充分認識されるべきである。
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