研究概要 |
「比較制度分析」アプローチにより,外部労働市場オプション(留保効用)水準を媒介とする業績管理会計システムと企業の雇用システム(技能形成,人的資源配分,報酬・限界生産性関係)間の制度的補完性の国際的な多様性を次のように明らかにした。 1.分権化組織の内部コーディネーション・システムの利用情報(個別ショック・共通ショック)および利用態様(情報共有・非共有)別の各類型の適合的な環境条件(組織単位間の成果の相互関係・個別ショックの相対的大きさ)を2部門成果モデルにより理論的に明らかにした。 2.産業別の国際的な比較優位の事例から同一産業における内部コーディネーションの国際的多様性,日本と欧米における特定類型の優位性を明らかにした。 3.雇用システムの構成要素,すなわち(一般的技能,企業特異的)技能形成,雇用契約期間・報酬基準の相互関係,内部コーディネーション・システムとの制度的補完性を理論的に明らかにした。 4.内部コーディネーションの特定類型の優位性から,日本と欧米における雇用システムの特定類型の戦略的補完性を明らかにした。 5.雇用契約期間(人的資源配分)を媒介とする雇用システムと(期間独立・多段階)業績管理会計システムとの制度的補完性を線形報酬モデルを用いて理論的に明らかにした。 6.雇用システムの戦略的補完性から,業績管理会計システムの優位な類型,国際的多様性,技能形成方法,賃金プロファイルとの整合性を明らかにした。
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