研究概要 |
負債と資本の区分の問題は、転換社債や新株引受権付社債といった金融商品について特に問題となるので、金融商品全般に関する検討からはじめた。特にわが国金融商品の会計基準の設定過程の検討と金融商品の評価基準の検討を行った。その上で、負債と資本の区分の問題を検討した。この問題に関して、FASBの考え方を検討した。 FASBは負債と資本の区分問題のもとになるすべての金融商品の分類を決定するためのアプローチを開発した。そのアプローチでは、特定のコンポーネントの特性に基づいて負債と資本の金融商品のコンポーネントを区分する。このアプローチのもとで、金融商品のコンポーネントは以下のような考慮事項に基づいて区分され、分類される。 1.コンポーネントが金融商品の発行者に、一つまたはそれ以上の実体に対して現金,現金以外の資産,または発行者の持分株式を引き渡すことを課しているかどうか。 2.どのような形態に実行が,債務の決済に要求されているか、そしてその形態の実行を決定するのに発行者はどの程度の自由度を有しているのか。 3.金融商品の取引相手との関係が本質的に持分権の関係か、それとも債務者と債権者の関係か。 債務は負債の本質的な特徴の一つであるので、発行者に債務を課さない金融商品コンポーネントは負債の本質的特徴に合致しない。それゆえ負債と分類されえない。負債として分類されるコンポーネントと資本として分類されるコンポーネントが識別される。
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