研究分担者 |
加藤 晃史 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 助教授 (10211848)
河野 俊丈 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (80144111)
川又 雄二郎 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (90126037)
寺田 至 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 助教授 (70180081)
寺杣 友秀 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 助教授 (50192654)
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研究概要 |
まず,符号理論については,符号の孤立半径に関し,[7,4,3]-Hamming符号の孤立半径が2√<2>/7・11に等しいことを示し,その結果をまとめてMax-Planck研究所の論文シリーズに発表した. 次に代数幾何学については,K3曲面のモジュライ空間の構造の研究が中心となった.Xを正標数の代数的閉体k上のK3曲面とし,Φ_XをXの形式的Brauer群,hをΦ_Xの高さとする.Z_1をd閉1形式としCをZ_1で定義されたCartier作用素とする.層Z_iをKer dC^<i-1>として帰納的に定義する。Mを次数2d(p〓2d)の偏極K3曲面のモジュライスタック,π:X→MをK3曲面の普遍族とする.v=π_*Ω^2_<X/M>とおけば,これはMのChow群CH^<h-1>_Q(M)の元を与える.自然数h(1【less than or equal】h【less than or equal】10)に対し,M^<(h)>={X∈M|heightΦ_X【greater than or equal】h}とおく.(X,D)を偏極K3曲面,x∈Mを(X,D)に対応する点とし,Im H^1(X,Z_h)を自然な単射Z_h→Ω^1_Xから誘導された準同型写像H^1(X,Z_h)→H^1(X,Ω^1_X)の像とする.このとき,Φ_Xの高さh<∞と仮定すれば,Im H^1(X,Z_h)=21-hが成立し,M^<(h)>のxにおける接空間は{Im H^1(X,Z_h)}∩D^⊥⊂H^1(X,Ω^1_X)と同型になることが示せた.とくに,M^<(h)>の次元は,dim M^<(h)>=20-hとなる.また,Chow群CH^<h-1>_Q(M)におけるM^<(h)>の類は(p^<h-1>-1)(p^<h-2>-1)...(p-1)vで与えられる.h=∞となる跡のうちB_2=ρとなる部分の構造については,Shafarevichの研究と関係してArtin不変量σが3以下の部分については構造が具体的に理解できたが,現在のところ最終決着には至っていない.また,Artin不変量がσ以下の部分のなすサイクルのChern類を計算することも興味のある問題であり,Pragaczの方法を用いて研究が進んでいる.アーベル曲面に対しては同様の結果がすでに得られており,Calabi-Yan多様体,超曲面の場合にも現在研究が進行中である.
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