研究概要 |
代数群の作用を受ける代数多様体の研究として,筆者は平成10年度-12年度で下記の4つの研究を行った. (1)単純代数群の非自明な作用を受ける3次元非特異射影代数多様体の中で,唯一,構造の不明である,SL(2)が作用する3次元非特異射影代数多様体で,2次元の一般軌道を持つものの構造を調べた.このうち,不動点をもたないものについては,完全な分類結果を得たので,論文Projective threefolds on which SL(2)acts with 2-dimensional general orbitsにまとめて,AMSのTransactionsに発表した.不動点を持つものについては,現在研究遂行中であるが,ほぼ満足する結果を得て,論文準備中である. (2)アフィンおよび射影平面上でx^2=y^qおよび無限遠直線で分岐する極大ガロア被覆についての研究を行い,そのガロア群の構造および極大ガロア被覆の存在するための条件を得た.この結果は論文On some maximal Galois coverings over affine and projective planes IIとして,Tokyo J.Math.に掲載予定である. (3)3次元商末端特異点の定義方程式とその剛性を,計算代数幾何学の立場から,数式処理システムを用いて示した.この結果は論文Defining equations and rigidity of 3-dimensional quotient terminal singularitiesにまとめ,現在投稿中である(大学院生の高緑氏との共同研究). (4)SL(4)のprimitiveな有限行列群の分類はBlichfeldtによって得られており,30種類あることが知られているが,筆者は,大学院生の新妻氏との共同研究で,数式処理システムMagmaを用いて,この30種類の有限行列群が実際にprimitiveであることを確認し,さらに,この30種類の有限行列群の中で,その不変式環が完交環であるものの候補を決定した,この結果は論文On primitive finite subgroups of SL(4)and their invariant ringsとして,準備中である.
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