研究課題/領域番号 |
10640050
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
代数学
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研究機関 | 姫路獨協大学 |
研究代表者 |
山岸 規久道 姫路獨協大学, 一般教育部, 教授 (10200601)
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研究分担者 |
川崎 健 東京都立大学, 理学部数学科, 助手 (40301410)
西田 康二 千葉大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (60228187)
戸田 宏 姫路獨協大学, 経済情報学部, 教授 (60025236)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1999年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1998年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | USD列 / I-invariant / Buchsbaum環 / 随伴次数付き環 / Rees環 / 特異点改良問題 / Macaulay化 / 算術的Macaulay化 / Blowing-up / Grothendieck群 / Ideal整閉包 |
研究概要 |
これまでのUSD列の研究では、列はparameter系、idealはparameter(又は極大)idealが中心であったが、現在は、parameter系を成さない列、parameter(又は極大)でないidealへと、研究が移りつつある。そこで、極大準素idealに注目し、列はそのminimal reductionを成す(もちろん、それはparameter系ではあるが)として、この状況下でのUSD列の振る舞いを解析する事に着手した。 Filtrationについては、ideal-adic filtrationに関するdecompositionの議論が一般のfiltrationへ拡張できる事が分かった。Filtrationに付随するRees代数Rや随伴次数付環Gの環論的構造の解析とそのlocal cohomologyを簡便かつ実際的に求める問題については、一般の極大準素idealでは大変困難なので、equi-I-invariantの場合を取り上げ、極大準素idealの定めるfiltrationについて考察した。環論的構造、特にBuchsbaum性については、GはBuchsbaumである事がまず分かった。Rについては、後藤四郎先生(明治大学)がCohen-Macaulay環の場合に導入した"minimal multiplicity"の概念を自然にBuchsbaum環へ拡張する事で、さらに極大準素idealのreduction数が高々1とすれば、その十分条件を得た。かなり特殊な場合ではあるが、これまでで一番優れた結果と考えている。極大埋入次元を持つ極大idealのRees環はBuchsbaumである事も分かった。Local cohomologyについては、この場合はかなり詳しく解明出来た。西田氏は、正則列で生成されたidealの整閉包について重要な成果を挙げ、また一般のfiltrationに対してanalytic deviationの概念を定義し、analytic deviationが高々1のfiltrationについて、Cohen-Macaulay性の解明に取り組み優れた成果を得ている。また、氏は重複度理論をGrothendieck群へ拡張したが、この新理論ではI-invariantの概念を拡張することが今後望まれる。川崎氏は、NoetherスキームXに対し、Xへの双有理射を持つNoetherスキームYで高々Cohen-Macaulay特異点しか存在しないもの(このYをXのCohen-Macaulay化という)を構成する問題に取り組み、氏はかなり一般のXでCohen-Macaulay化の構成に成功している。X=Spec A(AはNoether環)に対し、Y=Proj Rで構成するのであるが、Rees環R自身がCohen-Macaulay環であることを要求するとき、RをAの算術的Macaulay化という。氏はCohen-Macaulay化の理論を更に発展させて、Noether(局所)環が算術的Macaulay化を持つための必要十分条件を完全に解明している。 本研究の今後の課題について、すでに幾つかの萌芽が見られる。まず、GのI-invariantの役割は大変重要であるので、その解明のため、idealのべきを取るとき、その随伴次数付環GのI-invariantはどう振る舞うのかを調べて、ある種の安定性を持つことを突きとめた。次に、GがBuchsbaum環であるとき、極大準素idealの型をreduction数が高々1の場合についてほぼ決定できた。これは、下田保博氏(北里大)との共同研究である。最後に、Rees代数RのBuchsbaum性については、前述の議論を加群の場合で展開する事など、更なる一般化が求められる。今後は、こうした課題に取り組んでいく予定である。
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