研究概要 |
(1)quasi-Kokdaira特異点の定義を与え、それを特徴づけるいくつかの必要十分条件を証明した。(2)z^∧n=f(x,y)なる定義式を持つ超曲面特異点について、それがquasi-Kokdaira特異点となる十分条件を与え、これに付随して決まる代数曲線の退化族の特異ファイバーがいつmultipleになるか、non-multipleになるかの条件を、極大イデアルサイクルと基本イデアルサイクルの比較を行うことで与えた。(3)以前の研究で、「z^∧n=f(x,y)なる定義式を持つ超曲面特異点に関し、f(x,y)により決まるある自然数Nがあり、n≧Nなる任意のnについて、この特異点はKodairaとなる。」を証明したが、本研究ではこれを、「任意の2次元正規特異点(X,x)上に、ある条件を満たす正則関数fを与え、f=0なる因子上で分岐するn-次有限巡回被覆として決まる特異点(Y,y)を考えると、nを十分大にすると(Y,y)は常にKodaira特異点になる。」という形の定理に拡張した。(4)2次元正規特異点(X,x)とそれ上の正則関数fを与えたとき、1-パラメターの代数曲線の退化族g:S→Dで、Sがその特異点の解消空間Yを含み、Y上にgを制限したものが、fの引き上げに一致するようなものが常に存在する事を証明した。この事実を用いて、2次元正規特異点と代数曲線の退化族との差を測る量として、Pencil種数なる不変量を定義した。これによりある条件下で、quasi-Kodaira特異点は、基本種数とPencil種数が一致する特異点として、特徴づけられる。(5)楕円型Kodaira特異点において、U.KarrasやJ.Stevensなどにより得られていた、幾何種数に関する公式を、quasi-Kokdaira特異点の場合に拡張した。
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