研究概要 |
本研究では、球面束のトランスファー写像を、射影空間の場合の成果が生かせる形に拡張し、束の安定理論へのトランスファー写像の活用を中心に、その幾何的側面と代数的側面を併せて分析した。以下、得られた成果を順に報告する。 1.球面束のトランスファー写像のコファイバーがThom空間として表現できるという、我々の結果を活用し、トランスファー写像の基本性質を整理するとともに、球面束のトランスファー写像のe-不変量を計算可能にした。そして、それを応用して、一般化されたS^1-トランスファー写像のe-不変量を計算した。結果のいくつかは次の論文で発表する。 M.Imaoka and K.Knapp:Transfer maps of the sphere bundles,J.Math.Soc.Japan,52(2000),in print. 2.1の計算から、ベクトル束が直線束の和に分解するとき、e-不変量は組み合わせ論的数論と関係することが分かった。そこで、どのようなときベクトル束が直線束の和に分解するかを考察し、次のような結果を得た。 M.Imaoka and K.Kuwana:Stably extendible vector bundles over the quaternionic projective spaces,Hiroshima Math.J.29(1999),273-279. 3.トランスファー写像を応用して、球面の安定ホモトピー要素が枠付きの超局面で代表される場合の考察を行った。その結果として、18次元の位数8の要素v^*は、ある種のトランスファー二重写像の像であり、従って、枠付きの超曲面で代表されることが分かった。今後、結果を更に拡張したいと考えている。
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