研究概要 |
本研究においては,完備な局所的に共形平坦な多様体の幾何学および部分多様体の幾何学を軸にすえて,これに関わる種々の多様体についてそれら自身の位相構造および曲率構造の微分幾何学の問題を,様々な手法で手がけることを目的とした。(1)共形平坦な多様体の幾何学,(2)空間形内の超曲面の幾何学,(3)空間形内の部分多様体の幾何学,(4).球面定理の幾何学,(5)Alexandrov空間の幾何学などの諸分野において,独自に,または相互に関連する研究を行い,数多くの研究成果がえられた。 (1)に関してはスカラー曲率が非負定数でRicci曲率テンソルのノルムが一定の3次元完備な局所的に共形平坦な多様体の分類をした。スカラー曲率が負定数の場合にも特徴付けを与えた。 (2)に関してはEuclid空間内のスカラー曲率が一定の二つの異なる主曲率を持つ完備な超曲面は完備かつ非コンパクトな回転面であることを示した。これにより,Euclid空間内のスカラー曲率が一定の完備な局所的な超曲面を分類し,Euclid空間内のスカラー曲率が一定のコンパクトな超曲面に関して,Fields賞受賞者Yauの予想の部分解を与えた。 (3)に関してはEuclid空間内のある種の不等式を満たす平行な平均曲率ベクトルをもつ完備な部分多様を分類した。これにより,KlotzとOssermanの定理を任意な次元と任意な余次元に拡張した。Euclid空間内のスカラー曲率が一定の高余次元部分多様体の研究はかなり難しいので,今まで良い結果が殆ど得られていないが,我々はEudid空間内のスカラー曲率が一定の高余次元部分多様体の研究を行い,ある種の不等式を満たす完備な部分多様体を分類し,この方向の研究に対して大きな進展を与えた。 (4)に関してはradial曲率の条件の下で最大直径定理が成立する事が示された。 (5)に関しては非コンパクト完備リーマン多様体をradial曲率の条件下でコンパクト化して,剛性定理が成立する条件を求めた。さらに,完備リーマン多様体のradial曲率の下限がMangoldt曲面や回転面のガウス曲率で与えられたとき,Alexandrov-Toponogovの比較定理が成立する事を証明した。
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