研究概要 |
W.Thurstonの双曲Dehn手術の理論によると,双曲結び目を手術係数に沿ってDehn手術した時,有限個の係数を除いて結果は双曲多様体になる,そこで非双曲多様体を生じるDehn手術を調べることが重要になるが,研究代表者は茂手木公彦氏(日大・文理)との共同研究で,Seifert多様体と本質的トーラスを含む多様体-非双曲多様体の典型例-がいつ生じるかについて次の結果を得た。 1.周期型結び目のDehn手術でSeifert多様体が得られるには周期が2でなくてはならないことは平成10年度までの研究で判明していた。今回の研究で,周期2の結び目の場合は結び目を周期写像で割ってできる結び目がトーラス結び目でなくてはならないことがわかった。この結果は,与えられた周期型結び目がDehn手術でSeifert多様体をうみだすかどうかの判定に使える。 2.周期を持つ双曲結び目のDehn手術で本質的トーラスが得られる条件を考察した。結び目の周期が3以上のときは,このようなDehn手術をもつための必要十分条件は「結び目の種数が1かつ周期が3かつ手術係数が0」であることがわかった。;周期が2のときはこのような手術の例は無限にあるが,手術係数は必ず整数になることがわかった。 3.双曲結び目のDehn手術でどんなSeifert多様体が得られるかを特異ファイバーの指数の観点から研究し,次の結果を得た。p,q,rをどれか2つが互いに素となる任意の整数とする。このときある双曲型結び目のDehn手術により,p,q,rを指数とするようなSeifert多様体が得られる。この結果はJ.Deanが1996年に得た結果の改良になっている。
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