研究概要 |
本研究「位相積空間の正規性と被覆性の研究」は大別して,次の6つに分類される。 [I]位相空間の被覆性の積空間による特徴付け: 2つの被覆性メタコンパクトとサブメタコンパクトに関して,コンパクト順序数空間をファクターにもつ積空間による特徴付けを与えたもので,1992年に提出された問題に完全解決を与えた。 [II]順序数による積空間の被覆性: 2つの順序数による積空間において,メタコンパクトを始めとするほとんどの被覆性は同値になることを示した。一方,サブパラコンパクトだけがその積空間では意外な状況にあることをも考察した。 [III]一般距離空間をファクターにもつ積空間の正規性: 「距離空間をファクターにもつ積空間では,正規性と可算パラコンパクト性は同値である」という結果を,我々はレギュラーネットという道具により,新しい一般距離空間の概念を導入し一般化した。 [IV]レギュラーk-ネットワークによる距離化定理: 距離化定理とは,空間が距離空間となる必要十分条件を与えることである。ここではレギュラーk-ネットワークという概念を用いて,自然な形で距離距離化定理を与えた。これは長田の問題の解決でもある。 [V]k-ネットワークの問題と収束位相をもつ関数空間の問題: この研究は主に酒井政美によるもので,k-ネットワークに関するLinと田中による2つの問題を解決し,収束位相をもつ関数空間に関するBellaの問題も解決した。 [VI]コンパクト距離空間上の擬軌道尾行性: この研究は主に酒井一博によるもので,「コンパクト距離空間上の位相同相写像に対して,擬軌道尾行性とリプシッツ擬軌道尾行性は同値か」という問題に部分的解決を与えた。
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