研究概要 |
本研究においては主としてリー群上の不確定性原理の研究を行った.一般に関数とそのフーリエ変換が同時には局在しないという性質を不確定性原理と読んでいる.実数群Rにおける古典的フーリエ変換に対するハーディの定理は,αb>1/4ならば関数f(x)が無限遠においてe^<-ax>^2より速く,そのフーリエ変換f^^∧(ξ)は無限遠においてe^<-bξ>^2より速く減少するならばf=0というものである.この定理をまずカルタン運動群の場合に拡張し論文として発表した.次に半単純リー群に対するハーディの定理を研究した.フーリエ変換としては連続主系列表現に対応するものだけを考慮すればよいことが分かり,定理の証明に成功し,論文として発表した. ハーディの定理のL^P版であるカウリング・プリスの定理は‖e^<ax>^2f‖_p<∞,‖e^<bξ>^2f^^∧‖_q<∞,ab≧1/4ならばf(x)は殆ど至る所0であるというものである.この定理の拡張についても研究し,コンパクト群とベクトル群の半直積である運動運に対してカウリング・プリスの定理を証明し,論文として発表した.次に半単純リー群に対するカウリング・プリスの定理がほぼ得られ現在論文として準備中である.この研究の副産物として,リーマン対称空間上のベクトルバンドルの切断に対するカウリング・プリスの定理も得られた.
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