研究概要 |
内部領域Ω⊂R^n,境界∂Ω:滑らか,(t,x)∈[0,∞)×Ωとする.このとき次を考える. u_<tt>-Δu+μu=αu^m,m=2,3,...,α∈R,μ>0(中性スカラー場の自発的対称性の破れ)...(1) u_<tt>-Δu+2β(t+T)^<-1>u_t=αu^m,β,T>0, (オイラー-ポアゾン-ダルブ-方程式)...(2) u_<tt>-Δu+(μ+β(β+1)(1+t)^<-2>+2γβ(1+t)^<-1>)u=αu^m,μ=λ_1+γ^2,β∈R,λ_1:-Δの第一固有値...(3) u=0 on[0,∞)×∂Ω(ディリクレ条件)...(4) u=φ(x),u_t=φ(x) at t=0 (初期条件)...(5) I.境界値問題(1)-(4). μ=λ+γ^2,λ:-Δの固有値,そしてm,γ,n,μが適当な条件を満たすとき,指数減衰する古典解を得,解はちょうどe^<-γt>のオーダーでλに対応した固有値に収束することを示した。解は時間無限遠から逆方向に解くことで得られ,その際Singular hyperbolic operatorが使われた。さらに,以上の方法にそってガレルキン法で具体的に解を構成することに成功,無限個の解を得,解の構造を明らかにできた。 II.境界値問題(3)-(4). (3)は(1)を一般化したものであり,さらにμがどれだけ小さいときにIと同じ結果が得られるか等を目標に精密に多項式オーダーまで計算した。方法のIの後半で用いたガレルキン法を用いる方法を精密化したものであり,次のIIIが扱える可能性を開いた。 III.境界値問題(2)-(4),混合問題(2)-(4)-(5). f(t,x):almost periodic function,E[v]=o(t^<-β>)なるとき滑らかな解u(t,x)=t^<-β>f(t,x)+v(t,x)を得た.この解の表示により,uはちょうどt^<-β>で減衰することがわかる.方法はI,IIで用いた方法を発展させたものである。一方,混合問題(2)-(4)-(5)の解をwとおく.uは(2)-(4)-(5)の解でもあることより,すでにwがt^<-β>の速さ以上で減衰することが知られているため(山口勝,上坂洋司氏),uの性質からwの速さの上限がちょうどt^<-β>であることを示していることになる.また解の安定性よりuの近傍のwはuと同じ様な挙動をすることより,速さの下限もやはりt^<-β>であることがわかった。 IV.IIIで示したように我々の方法は解の減衰評価のOptimalityを示すのにも有効である.実際,次のNonlinear dissipation を持つ半線形波動方程式に対する境界値問題を考え,その解の減衰率について調べた. u_<tt>-Δu+u_t^3=g(t,x) ...(6) その結果,g(t,x)が適当な減衰率を持つとき,ちょうどt^<-1/2-c>,ε>0:任意,で減衰する解uを見つけることができ,中尾慎宏氏によって得られている混合問題の解の減衰率t^<-1/2>がOptimalであることがわかった.
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