研究概要 |
1.リーマン面のマルチン境界とその上の調和関数:正岡は瀬川との共同研究により,以下を得た. (1)グリーン関数が存在するリーマン面RとRを基底面とする有限葉非有界被覆面Rに対し,R上の正値調和関数の族とR上の正値調和関数の族とが一致するための必要十分条件,R上の有界調和関数の族とR上の有界調和関数の族とが一致するための必要十分条件をそれぞれ,R及びRのマルチン境界の概念を用いて与えた. (2)複素平面のハインズ型非有界被覆面に対して,非極小境界も含めたそのマルチン境界全体の形を決定した. (3)開リーマン面R上の極小マルチン境界点pの上にあるRを基底面とする有限葉非有界被覆面R上の極小マルチン境界点の個数がpの極小細位相によって,特徴付けられることを示した. 2.平面領域の等角的埋め込み:石田は以下を得た. (1)平面領域を円環領域に等角写像で埋め込むとき,その円環領域のmoduleの値がとる範囲を調べた. (2)縮約極値的長さを用いて,有限連結領域の円板の中への等角的埋め込みを議論した. 3.非線型双曲型方程式の解の特異性:辻は以下を得た. (1)ガウス曲率が負である曲面を記述する2階非線型双曲型方程式が可積分である為の必要十分条件を与えた. (2)ある条件を満足する2x2準線型1階双曲型方程式の系に対するコーシー問題の大域解の存在を議論した. 4.放物型方程式及び波動方程式の解の平均値の性質:西尾は以下を得た. (1)高階熱方程式の解に対する平均値の性質を示した. (2)高階熱方程式に対する優平均値不等式を満たす関数について,最小値原理を示した. (3)波動方程式の解に対する平均値の性質を示した. (4)α階放物型方程式の解に対する平均値の性質を示した.
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