研究概要 |
次の研究成果1)-3)を得た。 1)移流項をもった非線形楕円型偏微分方程式 β(u)-div{a(x,▽u)+h(u)}∋f(x∈Ω), u(x)=0(x∈∂Ω) について、renormalized解の存在と一意性についての結果を得た。ここで、βはRにおける極大グラフ、h : R→R^dは連続関数、a : Ω×R^d→R^dはある単調条件を満たすCratheodory関数 f∈L^1(Ω)である。Ωが非有界で移流項 div h(u)が現れる場合は、まだ十分に解決されていない。その問題に対して、ある一つの結果が与えられている。 2)Banach空間における発展方程式(E) : du/dt=Au+F(t, u), に対する慣性多様体の存在、滑らかさ、C^1近似について研究し、その結果をKuramoto-Sivashinsky方程式に対する数値解析の理論に応用した。即ち、近似方程式(E_n) : du/dt=A_nu+F_n(t, u), がある意味でA_n→A, F_n→F, DF_n→DFならば、(E_n)に対する近似慣性多様体は、(E)の慣性多様体にC^1位相で収束することを証明した。そして、それを差分近似方程式に適用し、K-S方程式の近似理論、数値解析の理論の研究を考えた。 3)上述の慣性多様体の理論を用いることにより、発展方程式(E)に対する局所不変多様体あるいは局所中心不安定多様体の理論の改良を行った。さらに、この結果を利用して、非有界領域上の非線形放物型偏微分方程式 u_t=△u+F(u, ▽)の漸近解析の幾何学的側面の研究に適用する試みを行った。非有界領域の場合、その線形化された方程式は連続スペクトルのみ現れ、スペクトルギャップがないのでむづかしさがある。
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