研究概要 |
リー群のユニタリ表現はキリロフ・コスタント理論によりリー群の随伴軌道上のシンプレクテイック構造を用いて構成される.研究代表者岡本は分担者小澤とシンプレクティック構造について共同研究をした。 古典領域の境界上の等質ベクトル束の切断のなす線形空間上で実現される既約表現と古典領域上の等質ベクトル束の切断のなす線形空間上で実現される表現との自然な「Intertwining作用素」をリー群の表現論的手法により計算することによりポアッソン積分の拡張が得られ,この拡張されたポアッソン積分は特別な場合としてコーシー積分も含む。この際,最も重要なことは既約表現のIntertwining作用素による像の上では不変微分作用素はスカラー作用素となるという事実である。したがって,拡張されたポアッソン積分は不変微分作用素の固有関数になる。特に,古典領域上の通常の関数空間を考えればラプラシアンが不変微分作用素であることからポアッソン積分はラプラシアンの固有関数になり,Huaの結果の拡張が得られるのである。 これらの研究をベクトル束の場合に拡張するのは,古典領域上の保型形式論等に重要であるが作用素達が非可換であるため,致命的な困難に遭遇する.具体例を数式処理ソフトを用いて計算しているうちにHuaが与えた例を含む興味ある結果が得られた。 更に,有限次元リー群およびカッツ・ムーディー群等の無限次元リー群の表現をファインマン経路積分により構成し,無限次元多様体上の積分作用素を幾何学的に研究し,分担者斎藤と共にホワイトノイズに関する可積分性を数式処理ソフトを援用して解明した。 上記で使用した数式処理ソフトは科学研究費補助金により購入したコンピュータを用いて実行したものである. また,これらの結果を平成11年12月6日京都大学数理解析研究所における研究集会(スペクトル・散乱理論とその周辺)において発表した。
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