研究概要 |
新規の架台に既存の40センチ望遠鏡鏡筒を取り付け,自動観測が行えるようにした。セファイド変光星を含む星団の測光を目的とした望遠鏡はこれが世界で唯一である。赤外線カメラは既存のものを望遠鏡に取り付けた。当初,赤外線カメラの冷却可能期間が短かったのを改修して改良した。いくつかの星団を観測した結果,赤外線カメラのノイズが予定の5倍あることが判明し,1Kpc以上の距離の星団の解析は困難な事が判明した。このため解析を近傍のM25とNGC1647限定して行った結果,星間吸収の距離に対する影響をこれまでの1/4に減ずることに成功した。また観測と同時に,距離の精密化にはIsochrone理論の精密化と従来考慮されていなかった星団のメタリシティーが本質的である。前者は我々は星の温度と色(B-V)の関係に大きな不定性があることに着目し,最新のデータを組合せて精密化した(印刷中)。後者のメタリシティー関しては,星団のメタリシティーを測定するのは広い視野を分光観測しなければならず,多数の星団に対しては困難を伴う。そこで我々はUBVの三色観測からメタリシティーを算出する方法を定式化した。これによって既存のデータベースから〔Fe/H〕が+/-0.2の精度でメタリシティーを算出できるようになった。(投稿準備中)以上まとめると,本研究によって赤外線による観測が距離精度向上に効果があることが実証でき,星の温度と色の関係の精密化,さらに測光データからメタリシティーを算出できる,という成果が得られた。
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