研究概要 |
矮新星は,数週間から数ヶ月の1回の割合で,3〜5等級の爆発を繰り返している星である。矮新星は激変星と呼ばれる半分離型の近接連星系で,伴星である赤色矮星からガスが流れ出し,それが主星である白色矮星の周りに降着円盤を作っている。矮新星の爆発は降着円盤が突然明るく輝き出す現象であることが知られている。矮新星の爆発の原因としては,当研究代表者が1974年に提案した「降着円盤の不安定性モデル」が現在世界的に広く受け入れられている。しかし観測的には矮新星の爆発の光度曲線にはいろいろのバライティがあり,これらすべてを「円盤不安定性モデル」というパラダイムにより統一的に理解しようというのが本研究の目的である。平成10年-11年度の研究成果は以下のようである。 (1)激変星における白色矮星のまわりのX線放射コロナモデルの研究 白色矮星への降着率が低い場合,降着円盤と白色矮星の間に出来る境界層は熱的に不安定になり高温化して膨張して,球形の熱いコロナが出来る。このコロナの球対称,定常モデルを定式化し,数値計算を実行し,モデルの期待されるX線スペクトルを計算した。計算の結果,コロナの熱エネルギーは電子による熱伝導により白色矮星に近い密度の高い領域に下向きに運ばれ,そこでX線として放射されることが分かった。また,コロナに流入した質量の約5\%が恒星風としてコロナから逃げることが判明した。 (2)矮新星爆発の統一モデルの完成 本研究主題について、国際研究集会において基調講演を行い、多くの研究者から高い評価および建設的な批判を受けることが出来た。
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