研究概要 |
1.A=30〜60領域のN【similar or equal】Z陽子過剰不安定核でのエキゾチック変形の探索を主な目的として、空間対称性に一切の制限を課さない三次元空間の正方メッシュ表現によつCranked Skyrme-Hartree-Fock法の計算プログラムを新しく開発した。これを用いて、^<32>Sの高スピン・イラスト状態の性質を調べ、a)超変形バンドが角運動量I=24【planck's constant】付近で劇的な内部構造変化を起こしハイパー変形に転移していくことb)I【similar or equal】10【planck's constant】のイラスト領域に空間反転対称性と軸対称性を同時に破ったY_<31>変形バンドが現れること等を示した。 2.上記の計算プログラムを拡張し、連続エネルギー状態も考慮して対相関を取り扱うCranked Hartree-Fock-Bogoliubov法の新しい計算プログラムを構築した。このプログラムの収束性、精度、計算効率の改良を積み重ねた。このプログラムを用いて、A=60-80領域のN【similar or equal】Z不安定核におけるエキゾチック変形を理論的に探索し,^<68>Se領域で空間反転対称性と軸対称性を同時に破ったY_<33>変形解を見出した。 3.a)超変形シェル構造形成の起源を半古典論の観点から理解すること、b)周期軌道の分岐現象を記述可能な半古典論を構築することを目的として、分岐点での停留位相近似の困難を克服する新しい半古典トレース公式を開発した。 4)2次元楕円ビリアードモデルにおけるbutterfly orbit群の分岐現象を具体例として、分岐点近傍で分岐軌道に伴う振幅が増大し、分岐に伴ってシェル構造が形成されるメカニズムを明かにした。更に、この解析を3次元に拡張し、回転楕円体キャビティモデルにおいて赤道面2次元軌道群から3次元8の字形周期軌道群が分岐するに伴って超変形シェル構造が形成される有様を系統的に解析した。
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