研究課題/領域番号 |
10640288
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
素粒子・原子核・宇宙線・宇宙物理
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研究機関 | 長崎総合科学大学 |
研究代表者 |
木村 喜久雄 長崎総合科学大学, 工学部, 教授 (60108636)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
1999年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1998年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
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キーワード | RIビーム / 気体電離箱 / 多重サンプリング検出器 / 粒子識別 / 多重サンプリング型電離箱 / MUSIC検出器 / 不安定核ビーム |
研究概要 |
現在建設中のRIビームFactory等における不安定核ビームを用いた原子核実験でのビームモニターとして用いるために、入射重イオンの粒子識別を高計数率で行うことが出来、かつ長時間安定に動作するような検出器の開発を行った。具体的には、グリッド無しの平行平板型の気体電離箱を多層構造にした検出器を試みた。多層構造を選んだのは、個々の電離箱ユニットの電極間の距離をできるだけ短くすることで、検出器としての動作速度を速くする事が出来るからである。但し、グリッド無しの電離箱のため、アノードからの出力信号形成には電子の流動による持続時間の短い電流だけでなく、陽イオンの流動による継続時間の非常に長い電流も寄与することになる。従って、このままでは後者の成分が高計数率での動作に対して非常に大きな障害となる問題を持っている。この点については、波形整形回路によって出力信号に特別な整形を施すことで回避できることが解った。即ち、継続時間が長いことを逆に利用して、陽イオンによる電流の影響を出力信号から完全に排除するのである。このようにして製作した多層構造の電離箱(高速MUSIC)を、多種類の重イオンが混在する二次粒子ビームを用いてテストを行った。その結果、この検出器の持つ粒子識別分解能は、入射粒子のエネルギー損失過程の統計変動によってもたらされる原理的な限界値にほぼ一致することが解った。言い換えると、回路のノイズや検出器固有の性質は全く影響していないということである。従って、エネルギー損失量を増やすことで分解能はいくらでも良くすることが可能である。一方、高計数率での動作については、テストを行った最大の計数率である150K cpsまでは分解能の低下がほとんど見られないことが解った。このようにして十分に実用的な性能を持った検出器の開発を行うことが出来た。
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