研究概要 |
構成要素である(PbX_6)^<4->(X:Cl,I,Br)の連結状態を0次元から3次元まで変化させた鉛ハロゲン系ペロブスカイト化合物(3次元:CH_3NH_3Pb(Cl_<1-x>Br_x)_3,2次元:(C_mH_<2m+1>NH_3)_2(CH_3NH_3)_<n-1>Pb_nX_<3n+1>(m=4,6,8、n=1,2、X:Cl,I),1次元:C_5H_<10>NH_2PbX_3(X:I,Br),0次元:(CH_3NH_3)_4PbI_62H_2O)の単結晶を溶液法によって作製した。これらの試料において、(1)ラマン散乱および赤外吸収測定による振動モード解析,(2)光吸収、光伝導、発光測定による電子状態の解析(2)相転移点近傍の熱解析、を行い、この物質系の構造相転移現象における次元性を系統的に調べた。3,2,1次元系試料では、絶縁体バリア部として働く有機分子の回転・配向の秩序化に伴う逐次構造相転移のカイネティクスを振動モード解析(有機分子内振動モード、フォノンモード、準弾性光散乱モードの温度変化)および熱解析によって明らかにし、この物質系の相転移に見られる共通の特徴と系統性を見出した。また、相転移点での電子状態の変化を発光の温度依存性から明らかにした。特に、1次元系試料においては、温度変化に伴う3つの逐次構造相転移に加えて、高圧下ラマン散乱実験より得られた有機分子内振動モードおよびフォノンモードの圧力依存性から、有機分子の回転・配向秩序化を伴う圧力誘起構造相転移が存在することを初めて明らかにした。一方、0次元系試料ではこのような逐次構造相転移が存在しないことを見出した。また、2次元系試料においては、25GPaまでの高圧下発光・光吸収測定により、10GPa近傍で励起子状態が完全に消失する直接-間接型転移を初めて観測した。
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