1.Si-MOSなどの半導体へテロ接合の界面に存在する2次元電子系は、不純物の影響を受け局在-非局在転移を起こすことが指摘されている。われわれは、電子がウィグナー結晶状態のとき結晶のフォノンの分散関係は長波長の極限でエネルギーギャップを持ち、このため電子が局在状態になることを経路積分法によって示した。またマイクロ波吸収の形状はウィグナーフォノンの状態密度を反映して、ローレンツ型ではなく非対称になることを示した。 2.河野らは液体He3上の準2次元的電子系のプラズマ共鳴吸収を極低温で測定し、共鳴線の位置はあまり変わらず線幅が温度にほぼ比例することを見出した。われわれは2次元電子系がウィグナー結晶を作り、液体Heの表面波(リプロン)と相互作用しているとして、経路積分法によって得られた線形ac伝動度の表式を用いて、プラズマ共鳴の線幅を計算した。その結果、線幅は温度に比例し、実験と良い一致を見た。この温度依存性は散乱相手のリプロンの数に比例するためである。
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