研究概要 |
立方晶ホイスラー合金であるErPd_2Sn(T_c=1.17K,T_N=1.0K)およびYbPd_2Sn(T_c=2.3K,T_N=0.22K)は低温で超伝導と磁気秩序が共存する物質として知られている。我々は多結晶のYbPd_2Snを育成し,超伝導状態と共存する磁気秩序の構造を決定するために,30mKまでの極低温における中性子回析の実験を行なった.その結果ErPd_2Sn(FCC-typeII反強磁性,k=[1/2,1/2,1/2]とそれに付随した不整合要素が存在する.)とYbPd_2Sn(FCC-typeI反強磁性,k=[0,0,1]であり不整合相は存在しない.)とで異なる磁気構造をもつことを明らかにした. ソル・ゲル法を用いて高温超伝導体R_2Ba_4Cu_7O_<15-δ>(R=Dy,Er)のシングルフェイズ試料を作製した.低温比熱による系統的な測定を行ない,超伝導状態と共存する希土類イオンの長距離および短距離磁気相互作用の研究を酸素濃度δを変えて行なった.比熱の実験によってEr247の系では酵素濃度が高濃度と低濃度では面内の異方性がそれほど大きくはなかったのに対し,酵素濃度が中間領域にあると面内の異方性が強くなり,1次元性が増加し,Er^<3+>の磁気相互作用の相関が短距離になることが明らかになった.Dy247の試料における比熱の異常は酵素濃度を変えてもT_N=1.0Kからほとんど変わらず中間濃度のDy_2Ba_4Cu_7O_<14.45>でもシャープな異常を示し,上述した効果はDy247の系では観測されなかった.これはCuO_2面内における電子のディスオーダーが何らかの変換相互作用のディスオーダーを引き起こしていると考えられる.
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