研究課題/領域番号 |
10640348
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
城 健男 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 教授 (20093487)
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研究分担者 |
嶋原 浩 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 助教授 (40226220)
田中 新 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 助手 (70253052)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1999年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1998年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 軌道磁気モーメント / スピン磁気モーメント / X線吸収 / 磁気円二色性 / 多重極相互作用 / 軌道秩序 / コバルト / LaMnO_3 / X線発光 / 双極子遷移 / 総和則 |
研究概要 |
内殻から外殻への電子遷移を伴うX線吸収の磁気円二色性(MCD)スペクトルの積分強度と、強磁性体中の原子のスピン・軌道磁気モーメントを結びつける総和則を用いて、磁性遷移金属多層膜の軌道磁気モーメント(以下M_0と略)がバルクのそれより大きくなることが指摘されている。この研究では、PdとCuマトリックス中に種々のCo原子超構造を仮定した系に対し、d軌道内の電子間多重極相互作用を考慮したタイトバインディング模型をハートレー・フォック近似で取り扱うことにより、Co原子のM_0の原子環境依存性を理論的に調べた。強磁性を仮定する限り、Pdマトリックス中では、Pdの大きい格子定数を反映して、CoのM_0はバルクのそれに比べ2倍程度大きくなるが、最近接位置に至るCo,Pd原子の数にあまり依存しない。これに対し、Cuマトリックス中では、Co-Cu間の3d軌道の有効混成が、Co-Co間のそれに比べてかなり小さいため、Coの最近接位置をCu原子で囲まれた場合、CoのM_0はスピンモーメント同程度にまで大きくなり得ることを示した。 次に、LaMnO_3におけるMn 3d軌道の反強敵起動秩序と、Mn L_<2,3>吸収線二色性の関係を、多重極相互作用と結晶場を考慮した1イオン模型に基づき理論的に調べた。最近、Mn K吸収を利用した共鳴X線散乱が、この系の軌道秩序の直接観測法として注目を集めるを一方、この方法が、Mnの周りの酵素を含めたMnO_6クラスターの変形を観測しているに過ぎないという指摘がある。この研究は、X線吸収スペクトルに現れる多重項構造が、軌道秩序の種類を特定する上で「指紋」としての役割を果たしえることを示した。
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