研究課題/領域番号 |
10640354
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
関根 智幸 上智大学, 理工学部, 教授 (60110722)
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研究分担者 |
黒江 晴彦 上智大学, 理工学部, 助手 (40296885)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
1999年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1998年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | スピンパイエルス転移 / 磁気励起 / ラマン散乱 / 不整合相 / 乱れた系 / 磁場効果 / 圧力効果 / 構造相転移 / 反強磁性 |
研究概要 |
1.CuGeO_3系 (1)Zn、SiやNiをドープした単結晶のラマン散乱より、スピンパイエルス相で現れる折り返しフォノンを調べた。ドープ濃度が増えると、転移温度と伴に格子変位の大きさが低下し、スピンパイエルス転移は抑圧され、約2%以上では長距離秩序は起こらない。また、低温で現れる反強磁性相でも、折り返しフォノンが観測でき、この相でも超格子構造が存在することを確かめた。約2%以上では超格子構造(短距離秩序は存在するが)を伴わない反強磁性相に転移する。 (2)Zn、SiやNiをドープした系では、選択則の破れから磁気ギャップモードの1次ラマン散乱を観測した。2つの磁気励起束縛状態からの2次ラマンピークは、ドープ量を増やすと共鳴状態になり、急速に消失する。このことは、主に磁気励起の寿命が短くなるためと理解でき、グリーン関数を用いて理論的に示した。 (3)Niドープ系での高磁場下で誘起される不整合相では、磁気ギャップモードはソリトン格子からの励起に成り、高周波数にピークが移動し、磁気励起束縛・共鳴状態の散乱強度は急速に減少する。 (4)高濃度にMgやNiドープした試料の室温・静水圧下でのラマン散乱より、純粋な試料の非静水圧下で現れるpyroxene構造への逐次相転移が起こることを発見した。 (5)高濃度にMgをドープした試料で、低温・高圧下でスピンパイエルス相が復活する事を、折り返しフォノンを観測することより示した。 2.α′-NaV _2O_5系 (1)低温相で磁気ギャップモードやスピノン2次ラマンバンドをラマン散乱で観測した。更に、3本の超格子構造を示す折り返しフォノンを観測した。Na^+イオン欠損の量を増加させると、折り返しフォノンのラマン散乱強度が減り、半値幅が増大し、磁気励起の強度が減少する。 (2)V^<4+>イオンのd-d遷移による電子バンドとフォノンピークの相互作用によるファノ効果を観測した。Na^+イオン欠損量を増加させると、ファノ効果は弱まる。これは、フォノン-フォノン緩和過程がフォノン-電子の緩和過程より支配的になると考え、理論的に示した。
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