研究課題/領域番号 |
10640356
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
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研究機関 | 福井工業大学 |
研究代表者 |
遠藤 裕久 福井工業大学, 工学部, 教授 (40025284)
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研究分担者 |
山本 逸郎 弘前大学, 教育学部, 助教授 (40210520)
星野 英興 弘前大学, 教育学部, 教授 (30001861)
樋渡 保秋 金沢大学, 理学部, 教授 (20019491)
井川 淳志 京都大学, 理学部, 助教授 (80243004)
池本 弘之 富山大学, 理学部, 助手 (20262496)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
1999年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1998年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 液体カルコゲン / 半導体-金属転移 / ネットワーク構造と鎖状構造 |
研究概要 |
本研究では液体カルコゲン系に関する構造相転移および半導体-金属転移現象に注目し、その機構をミクロな立場から解明することを目指した。実験的には、比較的低い温度で転移が観測されるTe組成の多いSe-Te混合系およびAs-Te混合系について、EXAFS、電導度、ホール係数の測定を行った。得られた結果をもとに転移点近傍での局所構造の変化、金属領域におけるキャリアーの伝導経路と原子配置のトポロジー等の知見を得た。シミュレーショングループは並列化効率の高いオーダーNタイトバインディング(TB)分子動力学(MD)計算技法を開発し、そのカルコゲン系への適用を試みた。 EXAFSスペクトルの詳細な解析から次のような結果を得た。液体Se-Te混合系では高温でTe-Teボンドが熱的に切断されやすいため金属化の始まる温度近傍でTe原子に近接するTeの配位数が著しく減少する。液体As-Te混合系では金属化領域で鎖間を架橋するAsボンドが3配位から2配位へ変化し、系はネットワーク構造から鎖状構造へ相転移することが明らかになった。この転移領域でホール係数の値は急激に減少し、金属化が進むとともにホール移動度は温度によらず一定の値をとる。また、第一原理分子動力学シミュレーションにより超臨界領域に至る液体セレンの動径分布関数を求め、結合角、二面角のゆらぎなど回折実験からは決定の困難な新しい知見を得ている。さらに、フェルミ演算子展開法を用いたオーダーNTB-MD法により、セレン結晶の圧力誘起相転移と金属化のダイナミックスについて有用な多くの情報を得た。Heuckel型およびCNDO型の半経験的電子ハミルトニアンを用いた理論計算により、セレンの隣接鎖間相互作用が増すとσバンド幅が広がることが明らかになった。液体セレンの臨界点近傍における金属化の動的過程のシミュレーションによる解明は眼前にあると考える。 液体カルコゲンの金属化に関する我々のシナリオは以下のようである。半導体-金属転移はボンドの熱的切断による鎖長の短縮、鎖端への電荷移動および隣接鎖間への頻繁な電荷移動(鎖内の荷電分布のゆらぎ)により誘起される。この液体で見出された相転移に際して鎖を構成する原子配列にパイエルス型dimerizationが起こり、長・短二種類のボンド(3電子のσ結合と2電子のσ結合)が出現する。
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