研究課題/領域番号 |
10640360
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
物性一般(含基礎論)
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
長谷川 正之 岩手大学, 工学部, 教授 (00052845)
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研究分担者 |
大野 かおる 横浜国立大学, 工学部, 教授 (40185343)
西館 数芽 岩手大学, 工学部, 講師 (90250638)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2000年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1999年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1998年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | フラーレン / 巨大分子 / 分子間相互作用 / 状態方程式 / 配向相転移 / 計算機シミュレーション / モンテ・カルロ法 / C_<60> / 固相-液相転移 / 気相-液相転移 / 計算機実験 / 液相-固相転移 / モンテカルロシミュレーション |
研究概要 |
分子間相互作用の及ぶ範囲が(分子の大きさに比べて)相対的に十分短距離になると、気相-液相の臨界温度が三重点の温度よりも低くなり、液相が熱力学的に安定な相として存在しなくなる。分子間相互作用がさらに短距離になると、流体相における気相-液相転移と類似の、同一結晶構造を保ったままの固相-固相転移が起る。本研究では、熱力学的摂動論および計算機シミュレーションの手法を用いて、種々のモデル系の分子間相互作用と相図との関係について系統的に計算を行い、液相が存在しなくなる条件および固相-固相転移が起る条件を明らかにした。液相が存在しない唯一の分子性単体物質ではないかと期待されているC_<60>に対する詳細な計算も行い、この物質が液相が存在するか否かの境界にあることを明らかにした。しかし、予測される臨界点近傍(〜2000K)におけるC_<60>の安定性には疑問があり、実験的には確認されていない。固相-固相転移は原理的にはコロイドで起ることが期待される。 C_<60>固体は典型的なプラスチック固体であり、面心立方格子を構成するC_<60>分子は高温では殆ど自由に回転しているが、低温では分子の配向が規則的になる。本研究では、C_<60>固体に対する第一原理電子構造計算に基づいて有効分子間相互作用を構築する方法を提案し、それを用いて規則-不規則配向相転移および状態方程式の圧力依存性が統一的に理解できることを明らかにした。 有限系に対して行われる計算機シミュレーションでは、分子配列を直接観測することによって相転移を決めることはできない。本研究では、このような計算機シミュレーションの限界を定量的に評価して、C_<60>に対する過去のシミュレーションのいくつかは誤りであることを明らかにした。また、特異なナノスケール分子(クラスター)であるカーボンナノチューブの動力学的安定性について、強束縛分子動力学シュミレーションによる予備的な計算を行った。このような大きな分子の構造と安定性に関する研究も今後の課題である。
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