研究課題/領域番号 |
10640372
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
物性一般(含基礎論)
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研究機関 | 佐賀医科大学 |
研究代表者 |
末崎 幸生 佐賀医科大学, 医学部, 教授 (80069484)
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研究分担者 |
一ノ瀬 浩幸 (一の瀬 浩幸) 佐賀医科大学, 医学部, 教務員 (10232406)
竹生 政資 佐賀医科大学, 医学部, 教授 (30207005)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2001年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2000年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1999年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1998年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 脂質膜 / 形状相転移 / 曲げ弾性定数 / 吸着平衡 / モンテカルロ法 / 麻酔効果 / ラングミューア単分子膜 / 非特異性 / 脂肪2分子膜 / タリン / 統計力学 / 曲げ弾性エネルギー / 蛋白質分子 / ベシクル / 形体変化 / 静電斥力 / ラインテンション / 球状2分子膜ベシクル / 曲げ弾性 / コーヒーカップ状ベシクル / 形状転移 / ナノクラスター / 静電付力相互作用 / 球状ベシクル / カップ型ベシクル |
研究概要 |
平成10年度から、平成13年度の4年間わたって科学研究費補助金(基盤研究C2)を授与されて「脂質膜の静的及び動的構造の理論的研究」のテーマで理論的研究を遂行してきた。生体膜モデル系としての脂質2分子膜の理論的研究は、伝統的な物理学会の中では必ずしも主流的な分野とは言えなくて研究者人工も少ないが、生物物理の中では生体膜の基本的性質は重要なテーマであり、補助金を授与することでその研究の重要性を認めて戴いたことを先ず感謝したい。 当初の研究目標は(1)レーザ照射による膜構造の形態変化(2)単分子膜系の対流発生であった。第一のテーマについてはこの報告書に述べるように、レーザの局所的な加熱効果による理論を提示して一応の完結を見た。その後このテーマの実験的発展は世界的に停滞していて、理論のみが先走りすることは意義が薄れてきたと判断して、継続的に研究している状況である。第二のテーマについては現実的に観測されている事実の詳細な理論的検討の結果、当初予想していた対流の痕跡ではなく荷電した膜の電気的斥力エネルギー効果により、ナノレベルの規則構造が生じるという結論を得て論文として報告した。 この当初の研究課題自体より掘り下げる内容が多くあるが、これは将来の問題として残した。この膜系の話題と問題点は多岐で複雑であり、さらに研究の展開と広がりを求めることも重要である。そこで以前から名古屋大学理学部の宝谷研究室で観測されていた、球状脂質2分子膜の蛋白質分子(タリン)の添加によるカップ状ベシクルへの形状相転移の解明に取り組んだ。カップ状ベシクルを割球として近似して、蛋白質のカップの縁への吸着平衡と力学的釣り合いを分かりやすく解析して報告した。この問題は割球近似が局所的な力学的釣り合いを満たしていないので、今後の研究課題として継続研究していることを報告する。例えば、モンテカルロ法による数値計算によって現実に観測されている形を再現する解析を実行中であり、その一部は国際会議(ロンドン、2001)で報告した。 麻酔現象は麻酔分子の膜への吸着を通じてその効果を支配しているという仮説に基づいて、ブルガリア科学アカデミーのPetrov教授と共に考えて共同研究を進めた。その結果、神経膜の外側の単分子膜に麻酔分子が吸着することにより、神経膜のイオンチャンネル開閉の確率を有為に変化させうることを計算した。要点は麻酔効果が非特異的な物理化学現象であるという観測事実と、筆者等の膜内部の応力分布に対する推察によって結果を導いたが、直接観測できない膜の内部応力分布の変化が重要である例を示した。
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