研究概要 |
月探査周回衛星計画(SELENE)においてレーザ高度計により月の形状を精密に計測するため、探査船の精密軌道決定と共に月面に対するレーザ光の照射方向の決定、また地形測定の誤差等の補正を必要とする。本研究は、レーザ高度計の機器開発と合わせてこのためのソフトの開発および計測の最適化の研究を行い、次の成果を得た。 1)月面の傾斜分布を考慮したレーザ光の受信強度、また太陽光や月面からの熱輻射による温度変化を考慮しレーザ高度計の最適化を図った。開発中のレーザ高度計の実験モデルが完成し、それを用いた熱試験と振動試験を行った。熱試験はほぼクリアーしたが、振動試験で光学系の支持部に亀裂が生じ、補強ための設計変更を行った(河野他,1998、Namiki et al.,1999)。 2)レーザ高度計データと地形カメラ等のデータを比較して、レーザ高度計の姿勢と時刻誤差を解く方法の検討を進め、基本方法を確立した(河野他,1999、荒木他,2000)。 3)探査船軌道について、軌道の交叉点での高度測定値を用い、探査船の軌道決定精度を向上させる手法の調査を行った。また、GEODYNEHソフトを改良し、周回衛星をリレー衛星を合わせ、特にVLBI観測と4wayドップラー観測により軌道を決定する手法を確立した(Heki,et al.,1999,Matsumoto,Heki et al.,1999)。月の潮汐による周回衛星の軌道変化について、数値解析によって影響量を推定した。その結果から、軌道の追跡データから、月の潮汐常数等を決定できる可能性を示すことができた(大江・松本,J.G.S.J.投稿中、Abe and Ooe,2001,印刷中)。
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