研究概要 |
「南部フォッサマグナにおける島弧-島弧多重衝突説」により2番目の衝突地塊と考えられている御坂地塊に焦点を絞り,衝突した海洋性島弧の復元を行った.特に衝突付加した島弧の中の火山中心〜前弧であったものと推定される御坂山地東部を中心に調査検討を行った.その結果,火山中心と考えられる御坂山周辺地域は,主としてデイサイトの塊状溶岩・同質ハイアロクラスタイトからなっており,一部に再堆積ハイアロクラスタイトが挟在していることがわかった.また,より東方の三ツ峠周辺には火山岩類を主な構成要素とするデブライトとタービダイトが分布しており,これらの上位に礫岩層が重なっていることが明らかになった.この事実は,三ツ峠周辺地域が前弧を形成していたことを示唆している.前年の研究で得られた御坂山地西部が背弧リフトであったという結果とあわせて考えると,御坂山地は西部から,背弧リフトー火山中心-前弧という一連の海洋性島弧システムを形成していたものと結論できる.また,御坂山地に分布する火山岩類について古地磁気の測定を実施した結果は,御坂山地の時計回り回転の可能性を示していた.この結果は,同時に実施した被衝突ブロック中の岩脈類の古地磁気測定から得られた御坂山地の北方にある被衝突ブロックの時計回り回転という結果とも調和的である.
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