研究概要 |
このプロジェクトは1998年-2000年3月までの2年間のプロジェクトとして発足した。当初,主研究者は陳文初であったが,1999年7月に香港中文大学に転出したため天埜が引き継いだものである。初年度は主として実験装置の製作にあてられた。装置は超音速分子ビーム発生部分,高電場領域,分子線検出器よりなる。これらは2つの真空チェインバーに納められる予定であったが,既に述べたように,主研究者の陳が年度半ばで転出したため計画の変更し,既存の主チェインバーに全てを納める。 超音速ジェット源を用い酵素分子の780nmバンド(いわゆるAバンド)のコールドスペクトルを観測した。このバンドは大気化学において重要なバンドで吸収断面積・衝突幅の精密データをえることが重要である。そのための予備的なデータを得た。さらに,酵素ダイマーの780nm近辺での吸収スペクトルの観測は現在継続中である。超強電場の印加テストを行った。電極の形状などに変更が必要と思われる。本実験で最も重要かつ困難な点は,分子ビームのオプトサーマル検出である。強い結合を有する(H_2O)_2のようなダイマーと共に,弱い錯体である(NO)_2を観測し,分子間結合力と分子間ダイナミック巣の電場による影響を研究する。実験は継続中であるが,当初の検出感度はまだ達成されていない。既に述べたように,研究体制の変更が生じたが,本研究は更に継続する予定である。
|