研究課題/領域番号 |
10640484
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
物理化学
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
染田 清彦 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (20206692)
|
研究期間 (年度) |
1998 – 2001
|
研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
|
配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2001年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2000年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1999年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1998年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
|
キーワード | 統計理論 / 半古典量子化 / 分子内エネルギー再分配 / フィーチャー状態 / 古典散乱行列 / 振動非弾性衝突 / ウィグナー表示 |
研究概要 |
1.分子のダイナミクスの時間的階層性に着目した研究を行なった。 (1)分子内振動エネルギー再分配(IVR)の階層性を量子力学的に解析するための手法「デリバティブ状態解析」を提案し、それをアセチレン分子に適用した。また、階層を持つダイナミクスを理解するキーコンセプトであるフィーチャー状態に着目し、水分子の高振動励起状態のフィーチャー状態の波動関数を計算することに成功した。フィーチャー状態の波動関数の現実的な系での計算例は本研究が初めてである。また、ダイナミクスの階層性をフェムト秒化学の手法で検知する実験的方法を提案した。 (2)時間階層性の速いダイナミクスと遅いダイナミクスの分離性が良好な場合に、不可逆な緩和過程が発生することを理論的に裏付けた。そして、マクロレベルの緩和速度をミクロレベルの分光学的情報と結びつける定式化に成功した。 2.統計理論の前提となっている衝突・反応過程の遷移確率のランダム性の起源について一つの提案を行なった。対応する古典力学系が不規則散乱(カオス散乱)を起こしている場合の遷移確率について、半古典論にもとづいた考察を行なった。巨大な数の古典軌跡が量子力学的遷移振幅に寄与するため、中心極限定理のメカニズムが働き、遷移振幅がガウス乱数とみなせる成分を持つことを示した。 3.強レーザー湯中の二原子分子のイオン化過程の研究を行なった。レーザー強度がある閾値を越えると、イオン化速度がレーザー強度に逆比例する現象「安定化現象」が見出された。本研究のケースではこの「安定化現象」は「重なり共鳴」と呼ばれる現象によって引き起こされている。一方、統計理論の代表例であるRRKM理論の成立条件も重なり共鳴と密接な関係を持つこと知られている。一見何の関係も無い強レーザー湯中のイオン化とRRKM理論が重なり共鳴という強結合系特有の振舞を介して通底していることが明らかになった。
|