研究概要 |
本研究ではパルスレーザー蒸発法により生成した分子種の赤外発光スペクトルをグレーティング分光器または高分解能フーリエ変換型分光器を用いて検出し、蒸発原子分子種の反応機構を調べるとともに、新しい星間分子として可能性のある金属化合物のスペクトル観測を行う事を目的としてきた。昨年度は、パルスノズル付きレーザー蒸発装置を整備し、レーザーパルス毎にレーザーが金属棒などの異なった場所に当たるように自動回転機構を製作した。今年度は、現有のフーリエ分光器(ブルカー社製 IFS120-HR)が連続スキャン方式なのでパルス的な分子の生成に対して時間分解してデータを取り込むシステムを製作した。具体的にはフーリエ分光器の波長基準として用いているHe-Neレーザーのフリンジに同期してNd:YAGレーザーを発振させ、データはレーザー照射後一定の時間後に取り込むようにした。その際、最近、販売されるようになったチップコンピューターを用いて、He-Neレーザーの周波数を数分の一にしてNd-YAGレーザー発振のトリガーを発生させた。またデータ取り込みの16ビットA/D変換器も新たに設置し、パーソナル・コンピューターにデータが正しく取得できていることを確かめた。フーリエ変換のソフトおよびグラフ用ルーチンもC++を用いて開発した。またレーザー蒸発法によってどのような分子種が生成しているかを、低温マトリックス装置を用いて赤外吸収スペクトルを測定した。炭素棒にNd:YAGレーザーを照射し、C_3,C_4,C_5,そしてC_6などの炭素鎖分子のスペクトルを波長5μm付近で観測できた。
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