研究概要 |
ローソン試薬[2,4-Bis(methoxyphenyl)-1,3,2,4-dithiaphosphetane-2,4-disulfide(LR)]と分子内にヒドロキシル基、カルボニル基やアミド基などをもつ多官能基化合物、ω-ヒドロキシーまたはω-ケト-アミド化合物などの反応による間便な含硫黄複素環化合物の合成法を検討した。 1.ω-ヒドロキシアミド化合物とLRの反応 ω-ヒドロキシアミドとLRのトルエン溶液を加熱還流すると官能基間を結ぶメチレン鎖の数によってチオエナミド、メルカプトアミド、および含硫黄複素環化合物、イミノチオフェンやジチオラクトンが生成した。 2.ω-ケトアミド化合物とLRの反応 ω-ケトアミドと当量のLRをトルエン中、加熱還流するとケトチオアミド、ピロール誘導体、アミノチオフェン、およびチオピランチオンが二官能基を結合する炭素鎖によってそれぞれ生成した。 3.N-アシルアミノアルコール誘導体とLRの反応 3-(N-アシルアミノ)アルコール誘導体とLRのトルエン溶液を加熱還流すると立体選択的に反応が進行し、出発物質の立体を反映したチアジン誘導体が生成した。アシルアミノチオールを経由する反応機構を明らかにした。 4.N-アシルトレオニンとLRの反応 N-アシルトレオニンと当量のLRをトルエン中、加熱還流するとチアゾリノン、オキサゾリノン誘導体が生成した。この反応によってLRに対する各官能基の反応性の違いを明らかにした。さらに生成物の反応機構に関して考察した。 以上の反応は含硫黄複素環化合物の新規、かつ簡便な合成法として有用な方法となる。
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