研究概要 |
分子ヒステリシスを示すルテニウム複核錯体の合成を行った。新たに導入した配位子は4,4'ビピリジルである。これを用いて可逆的に酸化還元するルテニウム錯体と酸化還元で異性化するスルフォキシドルテニウム錯体を結合させた。これらの電気化学測定を行い、酸化還元電位を測定するととももに、CV法を用いて異性化速度を決定した。さらに薄層CV法により記憶時間を測定した。それによれば極めて長い記憶時間が保持されていることが明らかになった。さらに、混合原子価錯体の光吸収スペクトルを測定したところ、錯体間の電荷移動吸収が観察され、光による記憶の読み出しが可能なことがわかった。 また、分子モーターや分子エンジンという視点から酸化還元による異性化反応を考察まとめた。さらに、今後の研究についても考察した。
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