研究概要 |
1.テトラアザ[14]アヌレン及びそのニッケル(II)錯体の合成…1,2-ジアミノベンゼン、アセチルアセトンと塩化ニッケルより、テトラアザ[14]アヌレンニッケル(II)錯体(1-Ni)を、さらに1-Niよりテトラアザ[14]アヌレン(1)を合成した。 2.機能性基の合成…3-ヒドロキシ安息香酸とベンジルブロミドより3ステップで酸塩化物(2)とオルトやパラ異性体も合成した。 3.7,16位置換ベンゾイルテトラアザ[14]アヌレン及びそのニッケル(II)錯体の合成…1あるいは1-Niをトルエン中トリエチルアミン存在下2と反応させ、ベンジルエーテル置換基を有する化合物(3、3-Ni)を合成し、それを還元しして、目的のヒドロキシ置換基を有する化合物(4、4-Ni)を合成した。 4.キノン類とヒドロキシ化合物との相互作用…(a)^1H NMRスペクトルによる検討…6種類のヒドロキシ化合物に種々の濃度のキノンを添加して相互作用を検討した。、キノンを1:1よりも過剰に添加した時、水酸基のプロトンシグナルは極めたわずかに低磁場側へシフトした。また、さらに、キノンのプロトンシグナルも極めてわずかしか高磁場側へはシフトしなかった。(b)赤外スペクトルによる検討…6種類のヒドロキシ化合物についてはキノンとのモル比を0.1:1から、100:1まで変化させ、水酸基とキノンのカルボニル基との相互作用によるυ(O-H)とυ(C=O)のシフトを測定したが、そのシフト幅は極めて小さい。 5.キノン類との相互作用に関する考察……以上のことから、6種類の化合物とキノン類との相互作用は非常に弱いと考えられる。その理由としては、水酸基の分子運動によるカルボニル基の部分の回転、アヌレン環とキノン類とのπ-π相互作用が弱いことや、さらにο体については分子内水素結合形成も原因の一つと考えられる。
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